本件は、調査内容のまとめのようなスタイルになるのかもしれませんが、できる限りメディア開発メーカーや記録媒体についての研究団体が示す資料を元に紐解いています。
そこから仕入れた情報は、私的な知識蓄積として、そしてお世話になっている人へ向けた情報という狭い範囲には有効な情報かもしれませんが、赤裸々に個人的な写真整理についてを語り、不特定の方の対策に応じるための善し悪しを追求することが目的ではありません。
前回お知らせした整理術再考のキッカケにあるように、私的なデータマイグレーションがことの始まりとなっていますが、ご覧になった方が何も考えずに写真管理やバックアップの方法を採用しているとしたら、それは将来にも有効なのかを見直すキッカケになればとの思いから記しています。
例えばバックアップと言っても「そのデータの重要度は誰が決めるのか」、「セキュリティの担保は何処で誰が行うのか」、「もしもの時のリカバリ体制はどの程度にするのか」などの基準は個々様々ですので、一概にこの方法が最適と語れないのが現実です。
そこで、一般的に利用されている記録メディアの性質を少しでも知ることにより、各々がデータの整理やバックアップ措置を探る起点になれるような内容を調べてあります。
種類 | 平均寿命目安 |
---|---|
M-DISC | 1000年(期待) |
HDD | 1〜5年 |
Blu-ray(業務用) | 200年〜(期待) |
Blu-ray(汎用) | 3〜10年 |
CD-R | 3〜10年 |
DVD-R | 3〜10年 |
長寿命DVD-R | 10〜30年 |
磁気テープ(Gen7) | 20〜50年 |
Optical Archival Disc | 100年〜(期待) |
MOディスク | 20〜50年 |
SSD | 3〜10年 |
M.2 SSD | 5年[保証]MTTF 180万時間 |
SDカード | 2〜3年 |
USBメモリ | 1〜3年 |
マイクロフィルム | 500年(期待) |
紙 | 100〜1000年 |
※複数の情報からの平均値や主観的な数値も含まれます。/期待:加速度・加速劣化試験などで示された年数/2021年1月時点。
表内の平均寿命目安は、記録媒体ごとの保管環境(温度や湿度など)条件やメーカー・個体差などにより変化するので、どこまでも目安としてください。
基盤が樹脂系ディスクタイプのメディアは、ディスク自体の記録品質が悪い、記録層(色素)の経時変化が著しい、ドライブとのマッチングによる問題の記事も多く見られます。
問題とはディスクがマウントしない、読み込みエラーになる状態ですが、特にBlu-rayは記録層が0.1mmと薄いので、普段使いするのであれば取り扱いも慎重にならざるを得ません。
ちなみに、一時期は完全保管用バックアップ(引退想定)先をBlu-ray(業務用)ディスクに移行しましたが、現在は金属系素材の記録層であるM-DISCがメインです。
カメラの画素数増加により、復旧(過去データの検索・回収)時の効率化を重視して、NASにはオリジナルサイズから解像度を落とした現像後のデータのみに限定しています。
撮影オリジナルデータであるのRAWの一時保管は、簡易サーバーの外付けHDDに保存して通常は通電(起動)しない状態で、必要時につないでいます。
簡易サーバーのバックアップは大体1年ごとに行い、通電しない状態のHDDを静電気防止シートに収め、内部を防磁気シートで包んだプロテクトスーツケースにまとめて収納しています。
とは言え、必要に応じて個別に自動設定をしたクラウドドライブへのバックアップ以外では、火災・水害・高い衝撃への対策まではできていません。
SSD(半導体素子メモリを使ったドライブ)は読み込み/書き込みが速いので、良く利用するデータ、再利用するような雛形データなどの保存場所としてフル活用していますが、バックアップ先とするには、以下の弱点とされる項目もあって、そのメリットはあまり活かされません。
SSDは小型化されていて、読み書きの速度が非常に速く、衝撃に強く、発熱、消費電力が少ないという、多くの方の通常利用に求められている十分なスペック(メリット)であるのに対し、バックアップ先のメディアとしては「(劣化具合と放置環境による)短期間でデータが消えてしまう可能性」が否定できませんので、当方環境下では致命的な弱点としています。
また、SSDの寿命を含めて状態を表示できるツールの利用はお勧めできますが、書き込み・消去の回数は表層では知り得ないので、その確認が手動先行である限り頻繁に大量のデータを書き換えるシーンでは必然的にHDDを選択しています。
なぜ、ここまで面倒なことを気にしたり調べたりしているのか?と言うと、私個人的にも周囲でもデータ消失やバックアップ復旧の苦労を経験してきたからです。
10年以上前には、バックアップを自動化していながらも、人為的なミスによってMacが買えてしまうような復旧費用が発生した苦い経験もあります。
ある程度の自己復旧も可能な有償ソフトも複数導入してありますし、外注での復旧費用もこなれてきていますが、それらは無用の長物であるに越したことはありません。
この流れを定着するだけで、思わぬアクシデントにも対応できる安心が得られます。
次回は「記録メディア」について、もう少し掘り下げて考察をしてみようと思います。